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UNITY!の活動は1999年、AVACO小川清司記念・視聴覚教育奨励賞を受賞いたしました。

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UNITY!ソングス・シークレットストーリー/Track16


『きよきあさに』

 

作詞: 喜多京司  ('98)  

作曲: Peter宮崎 道  ('98)

 

 

初演

 

Elpis/バンド版:

1998年3月28日「Elpis Live:復活の希望に向かって」
(於・日本聖公会 東京教区 聖マルコ教会)

 

オルガン付き編成版:

1998年3月29日「大斎研修プログラム“Elpis〜音楽の泉”」
(於・日本聖公会 東京教区 立教学院諸聖徒礼拝堂)

 

ご注意:

QuickTime等のGMサウンド・プラグインをお持ちの方は、現在ご覧になっているバックに「きよきあさに」の“瞑想バージョン”が流れてきていると思いますが、このデータを作詞者、作曲者、データ作成者、著作権管理者への承諾なしに他のサイト等に転用したりすることは堅くお断りさせて頂きます。尚、楽曲は著作権登録済みであり、JASRAC(日本著作権協会)の管理下にあり、法の下に守られております。

 

 


 

【シークレット・ストーリー】

Written by うしマ〜ク!(Peter宮崎 道)

 

        

 

 「きよきあさに」はNIFTY-Serveのフォーラム「ハレルヤ・ハレルヤ」(FLORD)で知り合った奈良・橿原在住のきよめ派の教会信徒=パンくず(喜多京司)さんとのコラボレーションによる作品です。1998年3月28日(土)、私のバンド“Elpis”の大斎節コンサート、翌日の大斎研修プログラムの特別公演にて初演したイースターソングです。本来は1996年7月に作曲し、Elpisのクリスマスコンサートでは既にお馴染みの人気曲「ノエル・ノエル 〜サイバースペースのクリスマスキャロル」に続く、Elpisの新曲として書かれました。

 

 この曲は私のパーソナル・ソングとして作曲をしました。丁度生きる上で様々な困難や悩みがあった時でもあり、自らを来るべきイースターに向けて(イエスが復活されたように)自らも立ち上がりたい、そういう気持ちを(自らに向ける形で)込めました。それまで私は常に自分個人に向かって曲を書いたことがなかったので、ある意味では面白い冒険でもありました。

 

 この曲は基本的には“聖歌・讃美歌”に相当するフォーマットで書いています。即ちポピュラーソングでは常套手段となっている、明確なる“サビ”はありません。全て流れ行く旋律の中で山谷を付けています。それ故、歌いだしの旋律線を特に注意しました。クラシック的な語法でいうならば、最初の4小節は「主題」であり、その後はその展開です。

 

 私は1995年5月に『古今聖歌集増補版'95』('95.9月出版)に収録された日本聖公会の新しい聖歌「こころのとびらをひらくと」を書いています。ですがこの曲には自分を投影するというより、“聖歌・讃美歌を書く”という意識が先行してしまったように感じていまして、それ以来、自分なりの聖歌・讃美歌を作りたい、という気持ちが常に心のどこかにあり、それに限りなく素直に形にしたのが、この「きよきあさに」です。
 

 

 奈良在住のパンくず(喜多京司)さんは、美術教諭という素顔を持ちながら、実は素晴らしいソングライターである事は、『UNITY!....』に収録された4作品で十分なほど分かりましょう。私は以前から彼と共同で曲を作ってみたいと思っていましたが、そのきっかけが私の個人的な悩み、そしてその先に控えていたElpisのコンサートとなったのです。まずはこのコンサートに向けての“新曲”として、作曲を始めました。
 

 

 はじめにパンくずさんと電子mailにて、曲のコンセプト/イメージ堅めをすすめ、私が先に曲を書き、後から喜多さんが歌詞をつけるという“曲先”の方向で作業を進めました。そのため、私は曲に対し、自分の思いを素直に現す事が出来ました。この曲は歌いだしのラインから順々に作っていき、後で気に入らないところを部分的に手直しする作曲プロセスで着手、何よりまず....

 

“歌いながら作る”

 

....ことから始めました。キーボードを弾いて作った「こころのとびら....」が最初からハーモニーを伴って産まれてきた故の“旋律の弱さ”、即ち豊かなハーモニーの助けによって旋律が成り立っているため、それと同じ結果を再び導き出さないためでした。

 

 余談ですが、「きよきあさに」の旋律の約80%は、私のスタジオ(Peter宮崎道スタジオ)の、台所の換気扇の下で作ったものです。換気扇の出すノイズ(雑音)から、この曲の旋律となる音列を聞き取ったのです。私の敬愛するギリシャの作曲家=ヴァンゲリスは自らを「混沌の中から音楽が産まれるチャンネルであり続けたい」と語りましたが、正に換気扇のモーターと空気の動きによって排出される「雑音」....音程のない“混沌”の中から、この曲はただ単に、私を通して出現したのでしょう。

 


 

 

 

 譜例は「きよきあさに」の冒頭部分です。メロディーは2拍目から始まります。即ち、上記のように譜面上では1拍目には四分休符が置かれています。私は自分でこういう歌いだしを持つ旋律を書いたとはいえ、後にアレンジの段階で、逆に旋律からリズムを要求されていることに気がついたものです。その時、私の脳裏には歌いだしの1拍目(旋律の休み)にはグランカッサ(大太鼓)を打ち鳴らす音が聞こえ、その後ろではマーチ風のリズムが聞こえてきていました。即ち、“広い大地”を感じさせる雄壮なイメージがこの旋律には感じられたワケです。

 一応楽曲のメロディーが書き上がり、喜多京司さんにその譜面(コード付き)を送る際、「この曲は暗闇から出られないでいる人達が大きなパワーによって立ち上がって行く歌です、悩む全ての人達に捧げます」と、敢えて注釈をつけました。それを考慮に入れ、彼は2番のライン(現在は3番)「かつては闇、歩みし我に/希望の光、今与えられん」と書いて下さいました。この歌詞に、私自身がとても勇気づけられ、大きく心を揺さぶられる思いでした。

 

 アレンジに関しては思いのままに行いました。ボレロ風アクセントを持ったマーチ・リズムにしたのは、先も述べたように旋律自体がそれを要求していたのとは別に、“プログレス(前進)”を表す故です。全体的に陸上競技的(オリンピック的?)なニュアンスを持たせているのも、決して空を飛ぶのではなく、“一歩一歩、足で地を踏みしめて前進する”事を表しています。決して「水戸黄門」のテーマ『ああ人生に涙あり』ではありません....が、「水戸黄門」も同じように“自分の道”を自らの足で踏みしめて歩いていくという観点が歌われており、その点は「きよきあさに」と共通している部分であるといえましょう。

 

 


 

 

       

 

 そのサウンドをベースに、私の主催するバンド“Elpis”のオーボエ奏者= 堀江和夫、フルート奏者= 河合沙樹の演奏を加えて、Elpisらしいバッキングトラックを完成させました。今回はオーボエに重要なポジションを担わせ、フルートは例えて言うなら“パイプオルガンの1ストップ”として捕らえて構成しています。それ故、管楽アレンジメントに於いては非効果的な手法も敢えてとっています。

 


 

 

 

 初演は1998年3月28日、日本聖公会・府中聖マルコ教会で行った 「Elpis Live:復活の希望に向かって!」で6人編成のElpisによって、翌日29日には私の母教会=立教学院諸聖徒礼拝堂の「大斎研修プログラム〜Elpis/音楽の泉」にてパイプオルガン(伊藤純子)を加えた7人編成のElpisで演奏しました。その後、歌詞と旋律の見直し、一部改訂を行い、超教派賛美CD『UNITY! 〜サイバースペースのクリスチャンたち』に収録するためにレコーディングに入りました。

 

 レコーディングはまず1998年5月に、自宅スタジオ“Peter宮崎道スタジオ”にて、シンセサイザー・オケを録音しました。サウンド的には作曲家=ヴァンゲリスのサウンドの如くまとめています。とめどないシンセサイザーサウンドの洪水は、私の仕事の上では決して出来ない事であり、正に私個人の“趣味”の世界には違いありません。和声を奏でる最も重要なシンセサイザーサウンドは、1970年代によく聞かれた古い“アナログ・シンセサイザー”特有の音色です。録音では左チャンネルには正真正銘のアナログ・シンセ(Fender CHROMA Polaris II)、右チャンネルには古いデジタル・シンセ(YAMAHA DX-7)というアナ・デジの2種類のシンセサイザーで似通ったサウンドを作り、同時に鳴らしています。又、終始マーチング・リズムを刻むスネアドラム(小太鼓)には4種類の異なったサンプリング・サウンドを組み合わせています。

 

 その翌月の6月に堀江和夫&河合沙樹の両名により木管デュオをオーバーダビング、バッキングトラックは完成ました。

 

 歌は私の母=中野慶子(NHK・初代うたのおねえさん。NHKの公式発表では“2代目”となっているが、“初代”である真理ヨシコさんと日替わりでTV「うたのえほん」に出演していた)に歌って頂きました。これは初演の時、私の通う立教学院諸聖徒礼拝堂の鵜川美代子姉から「あれはお母さんのために書いたのでしょ?慶子さんが歌っているのを聞きたいわ。」と言われたのがその大きなきっかけです。1998年7月に一度ボーカル・ダビングをしてみましたが、結果的には11月にもう一度歌っていただき、そのテイクをCDに収めました。


 

1998年11月28日ルーテル恵教会にて。左より谷渕和子、喜多京司、Peter宮崎道、河合沙樹。

 結果的にこの曲はCD『UNITY!』に収録しましたが、作曲当初は考えてなかった事でした。が、この曲がやはりNIFTY-Serveのフォーラム「ハレルヤ・ハレルヤ」(FLORD)で出会った2人で作ったものである事、『UNITY!』が3月1日というイースターを約1カ月前に控えた発売に決定したこと、加えてたまたまキリスト教の最重要な意味を持つ“復活”を歌ったナンバーがなかったという諸々の事情から、この曲はCDに収録すべきだと思い直したのです。

 

 「きよきあさに」を『UNITY!』に収録できた事は、大変嬉しい事です。それはこの曲を作者である2人自身、とりわけ私自身がとても気に入っているからでもあります。大変、思い入れの深い1作なのです。

 

 


 

 

Elpisについての詳しい情報は、オフィシャル・ホームページ(http://plaza13.mbn.or.jp/~Elpis/)をご覧下さい。

 

Elpis Home Page (http://plaza13.mbn.or.jp/~Elpis/)

 

 


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